【仮】イクツニナッテモ
フロアに室井君は居なかった。
今日は出勤日ではなさそうだ。
では、傘はどうしよう。誰かに託けるのも何だか、止めておいた方がいいような気がする。考えすぎかもしれないが、たった一度ここで仕事をしたオバサンが何故室井君の傘を、なんて、なんだか訳の分からない誤解のようなものになってもいけないし、借りたという説明も、なんだか…上手く言えない気がした。
ならば、そのまま傘立てに入れて帰る方が無難だと思った。
お礼は言いたいところだけど、メモを付けておくのも…躊躇われた。
現物がここにあれば、返さなくていいと言ってくれてた物、持って来たんだってくらいのことは伝わるだろう。
「今日も有り難うございました、お疲れさまでした」
スマホでの退勤の手続きが終わった。
店を出てアーケード街を駅を目指して歩いた。
こんな時間になっても蒸せるような暑さだ。
仕事終わりであとは帰るだけだと思っても汗の匂いが少し気になった。
…ファミレス。
もう少しでアーケードを抜け終わる手前にある。店舗は地下にあるため下りていく階段が少し見えるだけだけど。
人が上がって来る気配があった。なんだかずっと目がいってしまった。
今日は出勤日ではなさそうだ。
では、傘はどうしよう。誰かに託けるのも何だか、止めておいた方がいいような気がする。考えすぎかもしれないが、たった一度ここで仕事をしたオバサンが何故室井君の傘を、なんて、なんだか訳の分からない誤解のようなものになってもいけないし、借りたという説明も、なんだか…上手く言えない気がした。
ならば、そのまま傘立てに入れて帰る方が無難だと思った。
お礼は言いたいところだけど、メモを付けておくのも…躊躇われた。
現物がここにあれば、返さなくていいと言ってくれてた物、持って来たんだってくらいのことは伝わるだろう。
「今日も有り難うございました、お疲れさまでした」
スマホでの退勤の手続きが終わった。
店を出てアーケード街を駅を目指して歩いた。
こんな時間になっても蒸せるような暑さだ。
仕事終わりであとは帰るだけだと思っても汗の匂いが少し気になった。
…ファミレス。
もう少しでアーケードを抜け終わる手前にある。店舗は地下にあるため下りていく階段が少し見えるだけだけど。
人が上がって来る気配があった。なんだかずっと目がいってしまった。