禁じられた恋はその胸にあふれだす
私達は、人目も気にせずにキスをした。


店で働いていても、悠真君の事を目で追ってしまう。

そんな私を見て、お客さんはニヤッとしている。

「何よ。」

「いいや、一花にも春が来たんだなと思って。」

気の知れたお客さんだ。

背中をバシッと叩く。

「いやらしい。」

「何だよ、いいじゃねえかよ。あの兄ちゃん、結構カッコいいじゃないか。」

気さくで、笑顔が素敵な悠真君は、あっという間にお客さんの心を掴んだ。


「それにさ。三十路になっても結婚していないのは、一花だけだよ?」

「大きなお世話。」

「あの兄ちゃんは、結婚してないの?」

「たぶん。」

そう。たぶんとしか、言いようのない。


「なあ、兄ちゃん。ずっとこの街にいたらどうだ?」

「へ?」

「一花と結婚すればいいよ。」
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