禁じられた恋はその胸にあふれだす
「当たり前でしょ!何を言っているのよ!」

嫌だった。

栞さんの手が、悠真君を知り尽くしているようで、嫌だった。


「一旦、落ち着こう。」

「これが、落ち着いていられるの⁉」

悠真君は、私の方を振り返った。

「一花……」

「まだ、あの女にこだわってるの?」

「栞さん!」

風船が破裂したように、悠真君の何かが弾けた。

「事故に遭ってから、一花に世話になったんだ。」

「そうね。一花さん、有難う。」

栞さんは、ペコっと頭を下げた。

私もお辞儀をする。


「……それで、愛し合っているんだ。」

「はい?」

「俺と一花、愛し合っているんだよ。」

その瞬間、栞さんの手が、悠真君の頬を叩いた。
< 24 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop