禁じられた恋はその胸にあふれだす
悠真君が、自分の頬を覆う。

「二度と言わないで。虫唾が走るわ。」

そして栞さんは、悠真君の手を引いて、連れて行ってしまった。

「ちょっと、待って。一花、一花!」

私は下を向いて、悠真君を見ないようにした。


二人が病院を出て行く頃、同級生の医者が私の側に来た。

「結局、あの女の人、誰だったの?」

「悠真君の奥さん。」

「えっ!」

同級生の医者は、面白そうに笑った。

「残念だったな。」

「何が?」

「酒田、大崎さんの事、好きだっただろう。」


涙が出た。

好きなんてもんじゃない。

愛してた。

もう他の何も見えない程に。


その日の夜は、一睡も眠れなかった。

永遠に明日なんて、来なければいいのに。
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