禁じられた恋はその胸にあふれだす
私は、しばらく仕事に没頭した。

何も考えない。

悠真君が来る前に戻るだけ。


「一花、あの兄ちゃんは?」

「地元に帰った。」

「何だ。帰っちまったか。」

それ以来、お客さんの間で、悠真君の話は出なかった。

皆、その程度だったのだ。


そして、家に帰りたくなかった。

帰ったら、悠真君に抱かれていた事、思い出すから。

名前も呼ばない。

もう忘れる。

なかったことにする。

出会わなかった事にする。

もう、一生会う事はない。

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