禁じられた恋はその胸にあふれだす
「お嬢さん、血!血!血が流れている!」

「えっ……」

痛みがある場所を見ると、服がだんだん赤黒く染まって行く。

「いやああ!」

「一花!」

悠真君が急いでハンカチを取り出すと、傷口に当ててくれた。

「私……どうなるの?」

「落ち着いて、息を吸って。今、救急車が来るから。」

思うように呼吸ができない。

「死ぬの?私。」

「死なせないよ!しっかりしろ!一花!」


はぁー、はぁーっと呼吸をする中で、連れて行かれる栞さんが見えた。

彼女は、泣き叫んでいた。

私も訪れるかもしれない死に、涙が零れていた。


「救急車来ました。お名前は?言えますか?」

恐怖で自分の名前すら言えない。

「酒田一花です。年齢は30歳。」
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