禁じられた恋はその胸にあふれだす
栞さんはとうとう、壊れてしまったかのように暴れ出した。

「許せない!絶対許さないから!」

「栞……」

「離婚はしないから!一生、悠真は私の物よ!」

その形相は、あのスーツを着た幸せそうな家庭の奥さんからは、程遠かった。


看守さんにも行った方がいいと言われ、騒ぐ栞さんを後にした。

留置所を出た後、私も悠真君も黙っていた。

ちょうど、交差点で信号待ちをしていた時、悠真君が沈黙を破った。

「栞は、昔から逆上すると手が付けられなかった。」

昔からという言葉に、二人の重みを感じる。

「結婚して、何年?」

「2年。栞がどうしても子供が欲しいって言うから。」

「そこに悠真さんの考えはなかったの?」

「俺、栞には頭が上がらなかったんだ。」

「それはどうして?」

信号が青になり、私達は歩きだした。

「栞は、いつも毅然としていて。栞の言っている事を聞けば、間違いはないと思っていたんだ。」

「そうだったの。」

二人の付き合いや、結婚生活にとやかく言うつもりはない。
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