禁じられた恋はその胸にあふれだす
「私との出会いは、なかったことにすれば……」

「そんな事、できない。」

悠真君は私の側に来て、肩を抱き寄せてくれた。

「一花は、ただ単に不倫相手じゃない。俺のかけがえのない大切な彼女だよ。」

「でも栞さんは、奥さんだよ?」

「夫婦でも、関係が破綻しているなら、それは夫婦じゃないんだ。」

「私がいる事で、破綻したとしたら⁉」


悠真君は、私の顔を覗き込んだ。

「それはない。俺と栞は終わっていたんだ。」

そう言い切る悠真君が、情のない人みたいで怖い。

「私、嫌なの。私のせいで、誰かが不幸になるのが。」

「今更?」

私は、愕然とした。

今、今更って言った?

「何?今更って。」

「俺は破綻した関係を終わらせて、君との関係を前向きに考えている。それは、俺達の気持ちが通じ合っているからじゃなかったのか?」

「……私も加害者だって言いたいの?」

「被害者とか加害者とか。そんな話をしてるんじゃない。」

初めて悠真君と、喧嘩した気がした。

「それとも何か?一花の俺への気持ちは、その程度だったのか?」
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