夜を越える熱
土曜日。
時計を見ると11時だった。


だいぶ遅くまで眠っていたようだ。


(昨日泣いたから目が腫れてるかな)


そう思いながらのろのろと起き上がってカーテンを開ける。


太陽の光が眩しくて、消えはしないけれど昨日の悲しみをほんの少し、霞ませてくれる気がする。



枕元の携帯電話を開くと、美桜からの着信が3件あった。


〈藍香、大丈夫?帰っちゃったの??〉


夕べ、藍香が帰った後に送られたらしいメッセージもあった。


友人に心配させてしまったと慌てて電話をかけた。美桜の声が聞こえた。

「おはよう、ごめんね、電話気が付かなくて。それに先に帰っちゃって」


「いいよ、……でも大丈夫?気分悪くなったの?今井さんがそう言ってたけど」

(今井さん?……あの男性のことかな)




「そうなの、疲れてお酒飲んで気持ち悪くなって。先に帰らせてもらったの。美桜は?あの後帰れた?」


「うん、藍香がいつの間にかいなくてびっくりしたけど……今井さんはそう言ってたけど、他の人が……藍香が今井さんに泣かされて帰ったのを見たって言ってたんだけど。泣かされたの?何かあったの?」

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