夜を越える熱
見慣れた自宅マンションのエントランス。


オートロックのガラスの扉が見えてくる。



ロックを解除しようとして、視界の端に人影のようなものが目に入った。



郵便受けが並ぶスペースの隣、柱に寄りかかるようにして腕を組んで目を閉じていた黒いスーツ姿の人影。



「!」



恭佑だった。



驚いて息を呑む。




同時に機械音がして、ロックが解除された音。




その音に恭佑がゆっくりと目を開けた。






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