夜を越える熱
「……俺は気が済むまでここにいる。藍香は気にしなくていい」
「……ね、恭佑。もう遅いし。寝るんならこんなところじゃなくて帰って寝ないと。明日も仕事だし」
恭佑が眠いわけではないことは分かっていたけど
、なだめるようにそう言った。
恭佑のいる企画事業部は私のいる部署よりずっと忙しくて頭を使う仕事のはず。
眠らないで出来るような仕事じゃない。
膝にかけて伸ばされた恭佑の腕に、重そうな金属の時計が見える。彼が職場からそのままここへ来たことを物語っている。
私が黙ってしまうと、恭佑は続けた。
「このまま帰っても眠れないんだ」
「でも、眠れなかったら…明日の仕事が」
「俺は仕事は必ずやる。そんな心配は要らない」
座ったままの恭佑は、はっきりとそう答えた。
「………でも、それじゃ身体が…」
「………藍香」
静かな声に呼ばれる。
「俺を眠らせてよ。藍香の側なら眠れる」
「……ね、恭佑。もう遅いし。寝るんならこんなところじゃなくて帰って寝ないと。明日も仕事だし」
恭佑が眠いわけではないことは分かっていたけど
、なだめるようにそう言った。
恭佑のいる企画事業部は私のいる部署よりずっと忙しくて頭を使う仕事のはず。
眠らないで出来るような仕事じゃない。
膝にかけて伸ばされた恭佑の腕に、重そうな金属の時計が見える。彼が職場からそのままここへ来たことを物語っている。
私が黙ってしまうと、恭佑は続けた。
「このまま帰っても眠れないんだ」
「でも、眠れなかったら…明日の仕事が」
「俺は仕事は必ずやる。そんな心配は要らない」
座ったままの恭佑は、はっきりとそう答えた。
「………でも、それじゃ身体が…」
「………藍香」
静かな声に呼ばれる。
「俺を眠らせてよ。藍香の側なら眠れる」