カフェオレ色のアナグ・・・ラ[ブ=]無 ─ Anagram ─
[4]
ややあってワタシは仕方なく名を告げた。
俯きがちにボソボソと呟くように、飲みきった紙パックを手持ち無沙汰なように折り畳みながら。
「テシガワラ……ホタル、です。ちなみに十七歳、高校二年」
「ホタルさん、ですか。素敵なお名前ですね。やはり漢字は、水辺で輝くあの『蛍』でしょうか?」
「ううん……」
とそこでワタシは両掌に顎を乗せ、渋い顔つきで目を伏せた。
「こんな会話で始まった自己紹介だもんね、漢字も訊かれちゃうよね~」と小さな声でぼやいてみせる。
それから「貸して」と言うようにペンを指差し、アナログさんの名の下にその名を書き連ねた。
『勅使河原 穂垂』──「画数多くてイヤになっちゃう」そう言って深い溜息をついた。
「それに「垂れる」って字が嫌い。こんなの名前に使う文字じゃなくない? 垂れて良いイメージなんてある??」
指先でペンを回しながら、上目遣いにアナログさんを目に入れる。
「僕はそうは思いませんけどね。穂が垂れて『穂垂』だなんて、きっとご両親は素晴らしいイマジネーションの持ち主であられるかと」
「そうかなぁ?」
俯きがちにボソボソと呟くように、飲みきった紙パックを手持ち無沙汰なように折り畳みながら。
「テシガワラ……ホタル、です。ちなみに十七歳、高校二年」
「ホタルさん、ですか。素敵なお名前ですね。やはり漢字は、水辺で輝くあの『蛍』でしょうか?」
「ううん……」
とそこでワタシは両掌に顎を乗せ、渋い顔つきで目を伏せた。
「こんな会話で始まった自己紹介だもんね、漢字も訊かれちゃうよね~」と小さな声でぼやいてみせる。
それから「貸して」と言うようにペンを指差し、アナログさんの名の下にその名を書き連ねた。
『勅使河原 穂垂』──「画数多くてイヤになっちゃう」そう言って深い溜息をついた。
「それに「垂れる」って字が嫌い。こんなの名前に使う文字じゃなくない? 垂れて良いイメージなんてある??」
指先でペンを回しながら、上目遣いにアナログさんを目に入れる。
「僕はそうは思いませんけどね。穂が垂れて『穂垂』だなんて、きっとご両親は素晴らしいイマジネーションの持ち主であられるかと」
「そうかなぁ?」