カフェオレ色のアナグ・・・ラ[ブ=]無 ─ Anagram ─
「お知り合いに似ているのですね? 世界には自分とソックリな人間が、三人はいると言いますからね」

「あ、ううん……似てるんじゃなくて……アナタだったみたい」

「え?」

 驚きの(まなこ)がかち合って、瞬間空気の流れが止まる。

 まじまじと見詰めるワタシと、それを受け止める彼。

 (またた)くことさえ忘れて凝視するワタシの瞳に、目を丸くした彼の姿が映り込んだ。

「僕……ですか?」

「そう」

「僕が貴女の知り合いであると?」

「そう……そう!」

 小さなハイテーブルの(ふち)を両手で(つか)んだワタシは、まるで霧に覆われていた視界が晴れていくような、不確実な要素が確信に変わる瞬間を体感していた!

 そうそう~思い出した!!

「ね、あそこで働いてるでしょ? 図書館の、えーと、何ていうんだっけ? 勤めてる人のこと!」

「司書、ですね。……なるほど。ですがそれでは『知り合い』ではなく、『顔見知り』といったところでしょうか」

 納得したように再び笑んだ彼は、ワタシに答えて……そして補足をした。

 そうね、確かに。『知り合い』では、ないもんね。


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