カフェオレ色のアナグ・・・ラ[ブ=]無 ─ Anagram ─
 何はともあれ、お陰でワタシの成績はグングン上がった!

 半年も経った頃、この「言葉集め」を将来の目標と定めて、私は国立大学の国文科を目指すことになった。

 そして更に半年後。ついにワタシは第一希望に見事合格!!

 全てはハクアくんのお陰だ。

 けれどそれは最大の喜びであり、最大の悲しみだった──ハクアくんとの日々の終わり──ワタシはこれからアパートを借りて上京し、四年間東京の大学へ通う。

「あぁ~もう……ハクアくんが大学の先生だったら、これからもずっと会えるのにぃ~」

 ワタシは東京への出立当日、お礼とお別れを言いに、初めてハクアくんのご自宅を訪れていた。

 亡くなったご両親が残してくれたというだだっぴろいご実家は、もちろんそれなりに年月が感じられるけれど、隅々まで手入れが行き届いている。

 回廊みたいな四角い建物の真ん中に広い中庭があって、それはまるで切り取られた林のようだった。

 ハクアくんはワタシにサンダルを貸してくれて、その木立の中で嬉しそうに木洩(こも)れ日を見上げた。


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