カフェオレ色のアナグ・・・ラ[ブ=]無 ─ Anagram ─
「ブラック……ホール?」

「辿り着きましたね」

 触れた頬が(うごめ)き離れ、再び見えたハクアくんの(おもて)は、正解が出たことを(よろこ)んでいた。

「僕の中身はブラックホール──人という()れ物に満たされた「中身(ちしき)」を吸い寄せる……僕は貴女が僕の知らない知識で満たされるのを待っていたんです。そして、今──」

「あっ……──」

 ハクアくんのサラサラの黒髪が、初めて見る眼鏡を外した澄んだ漆黒の瞳が、そして(かす)かに開いた唇の奥が、いやに黒々としてワタシの視界を浸蝕する。

「……あ、あふっ……」

 あぁ、これが……「中身」を吸われる感覚なのだと理解した。

 ハクアくんの息遣いが荒くなる。ハクアくんにとっても、「これ」は快楽なのだろうか?

 少なくともワタシは感じていた。

 底から強引に引き上げられて、(とろ)けたような流動的な(かたまり)が、唇を通してハクアくんへと移されてゆく──胸の()くような悦楽感(エクスタシー)を!


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