星から来たマート⭐︎〜君と過ごした夏〜
 午前中の退屈な時間……。
 ポチは、マートの足元でスヤスヤと眠っている。外から聞こえる蝉の声だけが、静かな部屋に響いていた。

(そろそろ、声掛けてもいいかなぁ?)

 もう、勉強には飽きた。携帯があれば暇つぶしにゲームでも出来るけれど、マートの手の中にある。
 私は、ドリルを閉じて振り返った。

「ねぇ、マート?」

「んっ?」

 携帯の画面を見つめたまま、マートが適当な返事をする。

(なんか、つまんない……。せっかく一緒に居るのに……。マートが調べてることって、そんなに大切なことなの?)

「ねぇ、マート! 地球について知りたいことって、まだ答えは見つからないの?」

 開いている画面を覗き込みながら、急かすように言った。
< 154 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop