星から来たマート⭐︎〜君と過ごした夏〜
 次から次へと流れてくる美しい光に心を奪われていると、

 その中でもひときわ強く輝いている星屑が、私達のすぐ目の前を通過した。

(えっ、なに?)

 星屑とは言えない大きな物体が、七色の光をたなびかせながら、坂の下にあるコンビニの近くに消えていく……。

「しょ、翔ちゃん、今のって……」

「なんだ! あれっ」

 隣りに居たはずの翔ちゃんは、ジャングルジムによじ登って確認している。

 次の瞬間、
 コンビニの看板に激しい光が発生し、雷でも落ちたかのような衝撃が地面に響き渡った。

(まさか……、落ちたの?)

 まわりの見物客もどよめき始め、人の流れがコンビニに向かっていく。

「瑠璃! こいつを頼む」

「えっ!」

 慌てた顔で、翔ちゃんがバンを繋いでいるリードを私に手渡した。

「俺、ちょっと見てくる!」

 そう言って、人の集団を追い掛けるように走り去っていく……。

「もーっ、なんでよ!」

(私だって、見に行きたい! でも、バンは私の言うことを効かないし……)

 この人混みに入っていくのは、とても危険だと思った。

「全く、翔ちゃんは自分勝手なんだから!」

 ブツブツとぼやきながら、傍にある低い鉄塔に二つのリードを結びつけて翔ちゃんを待つことにした。

 足元に目をやると、嬉しそうにしっぽを振るポチの横で、バンが迷惑そうに私を見上げていた。
< 2 / 268 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop