星から来たマート⭐︎〜君と過ごした夏〜
 その時、

「瑠璃ーっ!」

 翔ちゃんが戻ってきた。

「ルリーッ?」

 少年が、首を傾げながら翔ちゃんの真似をしている。

「あっ、私の名前! 瑠璃っていうの」

「ルリ……」

 何かを確認するように、私の名前を繰り返している。

「瑠璃、帰るぞ!」

 そう言いながら、翔ちゃんが鉄塔からポチとバンのリードを外す。

「あっ、うん!」

 ポチを引き取りながら、私も少年に聞いてみた。

「あの、名前は?」

「僕の、名前?」

 少年は時が止まったような顔で、コンビニの方を見つめている。

(えっ? 通じなかったのかなぁ……)

 謎の反応に戸惑っていると……、
 再び、私に視線を戻した少年が、胸を張って言った。

「僕の名前は、マート!」

「えっ! マート? なんか、コンビニみたいな名前だね、キャハハッ」

 思わず笑いながら、私もコンビニの看板に目をやる。

「もー、行くぞ!」

 バンが勢いよく走りだし、翔ちゃんが公園を出ていく。

「じゃあね!」

 少年にそう告げて、私もポチと一緒に公園をあとにした。
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