海と銀河と私
目を覚ますと、旅の思い出と違う見慣れた景色が広がっていました。
車が家に到着すると、予想通り一太がドアを開けて駆け出しました。
一段落してから、私はお母さんにメモを手渡して、大きいお姉ちゃんに電話を掛ける様にせがみました。
電話はすぐに繋がりました。
「あっ、一菜だね」
「うん」
「今日はとっても楽しかったよ、ありがとね」
「うん、あ、あのさ、お姉ちゃん、、写真、、、くれるよね?」
「もちろん、これケイタイでしょ?」
「うん、お母さんのケイタイだよ」
「電話が終わったらすぐ送るからね。それと、折角だから一太にもかわってくれる」
「一太ーっ、大きいお姉ちゃんから電話だよ」
一太はニコニコして駆け寄って来て、小さな手でケイタイを耳に当てました。
「もしもーし、一太かい?」
「うん、一太」
「また、遊ぼうね」
「また、海に行ったら大きいお姉ちゃんいる?」
「うーん、そうだなぁ、一太が良い子にして、一菜姉ちゃんの言う事聞いてたら、居るかも知れないね」
「本当、約束だよ」
「分かった、一太と大きいお姉ちゃんの約束だよ。そしたらお母さんに代わって」
お母さんは電話を受け取って、大きいお姉ちゃんに言いました。
「今日は本当にありがとうございました。子供達と、そして私達にとっても忘れられない、良い思い出の旅行になりました」
「いいえ、こちらこそです。たまに電話してもいいですか?」
「一菜と一太が喜びますので、是非お願いします」
「ありがとうございます。では、今日はこれで失礼します」
電話が終わって、すぐに写真が送られて来ました。
翌日、お母さんが写真をプリントして、フォトスタンドに入れてくれました。
リビング用と、私専用の分と2つ作ってくれました。
家族で、あらためて旅の思い出を分かち合いました。
私分の写真は自分の部屋に飾りました。

大きいお姉ちゃんは、定期的に電話を掛けて来てくれました。
中学生になった最初の誕生日に、お父さんが私用のケイタイ電話を持たせてくれました。
友達の事や勉強の事を大きいお姉ちゃんによく相談しました。
それでも解決しない、不安や悲しみのある時は、あの大事な写真を眺めながら、セラの不思議な声を思い出すと、不安や悲しみは消えて無くなってゆきました。

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