男達が彼女を離さない理由
提案
 次の日の夜にはいつものように彼女は来た。
 サンドイッチとコーヒーを手に、彼女は俺の前に座った。
「かなーりご無沙汰してました」
 と彼女。
「ほんとだねー。元気だった?」
 と俺。
「昨夜は駅前でおみかけしましたね」
 と彼女。俺に気付いてたのか。俺の方に視線が向いたようには思わなかったが。
「スーツ姿の男性と一緒でしたね」
 と、前回よりは躊躇せずに訊けた。
「はい、職場の同僚なんです」
 と彼女。すかさず、
「ボーフレンドの1人?」
 と訊いてみた。
「はい、そうです」
 と彼女は即答した。
「昨夜はどこで夕飯食べたんですか? あっちに向かってたんで」
 と、商業ビルの方を指さしながら訊いてみた。
「昨日は私の部屋で夕飯食べました。あそこのスーパーで食材を買ってったんです」
 と彼女もあっち方面を指さして答えた。
 なるほど。彼女の部屋に行く権利を持つ男も居るわけだ。俺はいつか行けるんだろうか。彼女は俺の部屋に来てくれるかな。
< 17 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop