男達が彼女を離さない理由
雨が好き
 Markを見送った後、彼女はトレイを持って俺の前に座った。
「今晩は、Maggieさん」
「やめてよ(笑) 本名じゃないから。ニックネーム」
「どんな時に使うニックネーム?」
「教える仕事をする時。英語を教えたり日本語を教えたり」
「教師なの?」
「いいえ、正確には講師。Instructorね」
「なるほど。彼もボーイフレンドの1人なのかな」
「まぁ、そうね」
「多国籍だね」
「まぁね」
「英語が話せるとは知らなかった」
「バレたか」
「仕事は語学講師?」
「んーーー違うけど、それもやったりする」
「へぇ」
「Markは雨が好きと言ったね」
「そうね。彼は雨の日によく私に連絡くれる。或いはたまたま私と会う日に雨が降るのか…」
「俺もMaggieと呼んでも良いかな」
「え? 生徒でもないのに?」
「だってほんとの名前を教えてくれそうにないから」
 彼女はケラケラと笑った。なんて楽しそうに笑うんだろう。
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