線香花火の初恋【短編】
「花本はさ、凄く俺のこと好きって目線で見といて、俺が確かめにいったら線香花火みたいになにもなかったようにさ火種落したように貴方には関係ありませんって言うじゃん。ずるくない?俺、当事者なんだけど」

弾けて、パチパチと音を立てていつかの空で見たような大輪の花が慎ましく咲いた。目線が外せない。微動だに出来ない。手元と、その光であの時以上に綺麗な黒色で、オレンジで、茶色の不思議な瞳。その視線は恋が知られた後に突き刺さっていたもので、私を串刺しにする。

「しかも、俺が見ているの知ってるくせに見るのやめたら寂しそうにするじゃん。どうしろってんだよ、まじで」

「ご、ごめん」

どんどん、花は小さくなって、火種は名残惜しそうに消える。
消えてほしくないなんて思っていた。明るさを失った今、岸田君がどういう顔をしているか私は読めないから。いらついたように、粗暴に吐き捨てられた言葉に慌てて俯いてしまう。

「俺、好きだよ。花本のこと。お前も好きだろ」

「……」
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