線香花火の初恋【短編】
腰砕けになってたてない私は、支えられた腕を緩められるとそのままへたり込見そうになるがそのまま、足を抱えられ靴を履いたままお姫様抱っこをされる。下からぼんやり、見上げたがいまだに恐ろしいオーラをまとったままなにも言えない。

ベッドに投げ捨てられ、その上に組み伏せるように股がられた。手を頭の上に片手で縫い留められる。岸田君は下から上までゆっくり舐めるように見た後、にっこり笑った。愛ちゃんと似た笑い方だった、艶めかしいといった。

「花本…好きだよ」


唇を早急に奪われた。初めてのキスだった。唇を合わせたものがキス。大雑把な概念しか知らなかったことに後悔した。唇を舐められ、少し吸われる。「開けろ」って命令されて、震えながらあけた。歯茎も舐められ、歯の隙間が開いたところから舌をねじ込んできた。


舌を付け根のところから舐められ、逃げようとしても追いかけてくる。あぁ、これはあの目線と同じだ。彼は爽やかだと思っていたけれど、全然爽やかなんかじゃない。ねっちこくて、執着心が誰よりも強いんだろう。とうとう追い詰められた舌は誘い出されるように、彼の口内に持っていかれて吸われた。
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