線香花火の初恋【短編】
酸素不足でくらくらする。誰よりも強い執着心で異常に分からせようとするのは、私が逃げていたからだろう。

「今キスしているのは、お前が見つめていた岸田だ。他の誰でもないんだよ。わかってる?」

「わかって、る。い、待って!」

「待たない」

ブラウスを片手で起用に外していく。心もとないキャミソールと透けている下着に死にたくなる。縫い留められていた手を離され、ブラジャーとキャミソールを一気に引き下ろされた。申し訳ない程度の乳房がまろびでる。羞恥心で顔に朱が上った。手を顔で覆った。

「いやあ」

「いやあじゃない」

顔から手を外され、胸に顔を寄せられ乳房の先端を指先で掠めた。ダイレクトに身体に衝撃が走り、感電したように震えた。掠めた指は乳輪を掴み、唇で弄ばれた。
そして時々、その先端に噛みつかれた。どんどん、快感が精度をまして身体に直接伝わって、声が意図せず漏れた。ほとんど泣き言のようなものだった。

「誰と、セックスしてんの、若菜」

セックス。認識していたけれど、言葉で言われると恥かしいし、男の部屋についてきといていうのもだが、こんなはずではなかった、だ。

「岸田君、です…」

「名前」

もう許してほしい。

「基弘君…」

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