私の恋心と彼らの執着

『気づいてなかっただろうけど、ずっとゆかりが好きだった。
 ……俺じゃ、ダメか?』

 本当に、まったく気づいていなかったから驚いた。
 けど即座に断った。
 文隆は幼なじみ、いい友達だ。だけど異性としては見られない。そう言って。

 あの時の文隆は、ひどく悔しそうな顔をしていた。

「どうして俺じゃダメなんだよ。ゆかりのこと、誰よりも大事にするのに」
「……言ったでしょ、前に。男に見えないって」

 私の言葉に、文隆はまた、あの時と同じ表情を浮かべる。
 歯を食いしばるように唇を引き結んで。

 ややあって、絞り出すような声が降ってきた。

「──だったら、男にしか見えないようにしてやろうか」

 宣告の直後、唇がふさがれた。
 同時に、のしかかられて腰をキッチンユニットに押しつけられる。

 傾いていく身体をなんとか肘で支えた。
 唇から舌が、カットソーの裾から手が入り込んできて、血の気が引く。

「……っ、な、……やめ、」

 下着越しに脇腹を撫でられて、冷や汗が背中をつたう。
 誰がいつ入ってくるかわからないこんな場所で、しかも仕事中に。
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