溺愛の形・わがままな純愛・後日談(エピローグとプロローグ)
ユリアは、
フェンネルの領地特有の、
村娘が着る民族衣装を着ていた。

白いブラウス、黒のスカートには
赤や青、緑の花のアラベスク模様の刺繍。
黒のベストも同じように刺繍がしてある。

手には、濃い深緑色のフード付きのマントを、折りたたんで持っていた。

「本当に、この恰好でいいのですか?」
ユリアは、心配そうにケイレブに聞いた。

「うん、会うのは俺のダチだし。
君の事を、見せびらかしたいし」

ケイレブはうれしそうに、口角をあげた。

「見せびらかす・・なんて・・、
お友達ですよね」

少し困惑気味に、ユリアが言ったが、
ケイレブは、鼻をこすりながら
「君に興味を持たれたら・・
困るけどね」

そう言いながら、ユリアの指に
自分の指をからめた。

ユリアを共同経営者として、
奴に認めさせないと
フェンネル領での商売も、スムーズにはいかない。

それに、奴が手を出す前に、釘を打たねば・・

「今日はまだ、1回もキスして
いないけど」

ケイレブは不満げに、ユリアの瞳を覗き込んだ。
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