溺愛の形・わがままな純愛・後日談(エピローグとプロローグ)

王位時期継承者と出会い

ユリアはその男性を見て、
小さく息を呑んだ。
「サリナス殿下・・」

黒髪を後ろに束ねて、
その瞳は特徴的な琥珀(ゴールデンイエロー)
これは王族の血筋を示す。

肌色がやや褐色で、精悍な印象をみせる。

サリナス殿下は、柔らかく微笑んで、すぐにユリアに、手を差し出した。

「こちらの美しい姫君は・・?」

ケイレブはすかさず、
ユリアを背中に隠すようにして

「だめっ!触っちゃ!見るだけ!!」

サリナス殿下は、ケイレブの
うろたえる様を見て、
おかしくてたまらないように

「ケイレブ、わかった。
見るだけだから、きちんと紹介してくれ」

ケイレブは口をとがらせて、
早口で言った。

「今、俺はフェンネル領にいるんだ。
彼女はユリア・フェンネル、
次期領主で、俺の共同経営者だ」

ユリアは、スカートの裾をつまんで、優雅にお辞儀をした。

顔をあげたユリアに、
サリナス殿下は、優しく問いかけた。
< 6 / 15 >

この作品をシェア

pagetop