溺愛の形・わがままな純愛・後日談(エピローグとプロローグ)
「ユリアちゃんは渡さんぞ。
お前のほうこそ、狙っているのが見え見えだからな」

ケイレブは叫んで、ユリアを抱き寄せた。

「ケイレブ!殿下の前ですよっ!」

ユリアは焦って叫んだが、
ケイレブはより強く抱きしめて

「へーーーい、
うらやましいだろ!サリナス!」

まるで、ガキのようにからかい、挑発した。

サリナス殿下は「本当にあきれた」と言うように、
近くのベンチに座り込んだが

「確かに・・うらやましい」

小さく独り言のように、つぶやいた。

その敗北?宣言に気をよくしたのか、ケイレブは思いついたように

「そうだ・・サリナス、
俺が別の女を紹介してやるさ。
知っているか?

フェンネル領は美女が多い。
昔から、美女の産地らしい。

その中でも、肝が据わっていて、
料理が、すこぶるうまい美女が
いる」

ケイレブは空に視線をやり、
思い出すように

「瞳がスカイブルーで美しい・・」

「ケイレブ、君がそこまで言うのは・・珍しいな」

サリナス殿下は興味深そうに、
顎に手をやった。
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