魔法の恋の行方・シリーズ6・魔女の初恋(レリアとサリナス)
「石灰岩か・・」
このあたりには、鍾乳洞もあるのだろうか。

地震か河川の氾濫か、
なんらかの浸食を、長期に受けたものだろう。

「こっち、こっちに来て?
サリィ」
サリナスがレリアの方に近づくと、

その場所は、
何かの空気の揺らぎ、圧迫感を
一瞬、感じた。

結界・・・?
王族は、神事の儀式に立ち会う事も多い。

サリナスは、それも義務的にこなしていたが、
時折、祈りの途中で、
不思議な感覚、空気の揺らぎ感に、襲われる事があった。

神学者にたずねると、
「神と俗世を分ける壁、
結界をお感じになったのでは?」
と、言われた。

「もし、神の国にそのまま行ったら、
こちらでは死ぬという表現になるのだな」
と言ったら、
その神学者は黙ってしまったが。

サリナスは立ち止まって、
考えていた。

そこは、小さな祠のようで、
中の石には文字か、模様なのかわからないが、何か刻まれている。

祠の前には、
だいぶ前に置かれた花束が、
ドライフラワー状態になって、
カサカサと音を立てていた。
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