魔法の恋の行方・シリーズ6・魔女の初恋(レリアとサリナス)
今のあいつは、ダメだ。
ユリアしか目に入っていない。

商売で金儲けをするという、
本来の使命なんか頭から、ぶっとんでいる。

それでも、ユリアのためなら、
巨額な投資話を、ふっかけてくるだろう。

資金回収できるだけの何かが、
この土地にあるのかを、
自分の目で、確かめなければならない。

愛に目がくらんだ男は・・・
サリナスは、頭を振った。

あんな骨抜きのケイレブを、
見たことがない。

そして、
追い抜かれたという、一抹の寂しさと、うらやましさ・・

サリナスは、階段を降りて、
誰もいない、黒猫亭の酒場の扉を開けた。

外は陽が陰り始めて、
海風が寒さを運んできている。

相変わらず、大通りなのに人の
往来がない。
かもめと猫だけが、通り過ぎる
だけだ。

海沿いの通りを歩くと、
しばらくして、山道に入る小道があった。

山道は、カーブになっているので、見通しがつかない。
通り過ぎようとした。

その時
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