魔法の恋の行方・シリーズ6・魔女の初恋(レリアとサリナス)
「その昔、この国の国王自らが、
薬草リキュールを、魔女の国まで買いにいって、
戻らなかったという伝聞がある」

サリナスはそう言って、
片手で、まだ抱きついている
レリアの頭をポンポン叩いた。

「魔女の血が、引き寄せたのだろうね」

外はもう暗くなっている。

王宮の尖塔を、大きなドラゴンが、雲間にまぎれて、旋回しているのを誰も気が付いていない。

音がしないが、稲光が光った。

サリナスは窓から見える、その光に気がついて

「早急に黒猫亭で、首脳会談を
開催するよう、手配を頼む」

「わかった、俺とユリアで準備をするから」

ケイレブは、すでにマギーとの
交渉をどうするか、考えているようだ。

「レリア、今日は帰りましょう」
ユリアが声をかけた。

レリアは、スカイブルーの目を輝かせて
「サリィ、明日、また、来てもいい?」
「もちろん、君は私の婚約者だからな。
ここの窓を開けておくよ」

そう言って、
サリナスは、レリアのとび色の頭をなでた。
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