いけすかない男
一週間前、営業部と総務部での飲み会があった。
営業部の奢りだということで、酒好きの京香は人数合わせの為に参加したのだが、淳子を始め総務部の女たちは、婚活パーティー感覚で参加していた。
集合場所の居酒屋に、営業成績トップの市原を筆頭に、爽やかな男が数人やってきた。さすが営業部だ、と京香は感心した。
仕事の話から始まり、酒が進んでいくにつれ、次第に恋愛話に移っていった。
「市原さんは今まで一度も浮気とかしたことないですか?」
女社員の一人が市原に尋ねた。
「てかさあ、いつも男の浮気ばっかり取りあげられるけど、女だって普通に浮気すんじゃん。逆に俺が聞きたいよ」
市原が眉根を寄せて返した。
「やだ~、勿論私はしないですよ~」
「しないしな~い!」
女社員たちは声を揃えて、自分は安全牌だ、とアピールした。
「女の浮気はたち悪いだろ?」
市原はさらに被せた。
「女の浮気は浮気じゃなくて本気って言いますよね。浮気される男に原因あるんじゃないですか?」
京香のひとことで、一瞬にして場の空気が凍りついた。
「なーんて! 昼顔妻のドラマの観すぎですかねー? 今めちゃくちゃはまってて!」
京香は笑いながら慌てて誤魔化し、ちらりと淳子の方に視線を向けると、淳子の目が「よろしい」と言っていた。
何とかその場をやり過ごしたが、京香は市原の発言に腹を立てていた。女を何だと思っているのだ、と。
営業成績トップの市原は確かにビジュアルが良い。いつも女社員にチヤホヤされて調子に乗っているのだろうか。
いけすかない男だ。
皆は二次会の話で盛り上がっていたが、腹の虫がおさまらない京香は一人さっさと帰ったのだった。
営業部の奢りだということで、酒好きの京香は人数合わせの為に参加したのだが、淳子を始め総務部の女たちは、婚活パーティー感覚で参加していた。
集合場所の居酒屋に、営業成績トップの市原を筆頭に、爽やかな男が数人やってきた。さすが営業部だ、と京香は感心した。
仕事の話から始まり、酒が進んでいくにつれ、次第に恋愛話に移っていった。
「市原さんは今まで一度も浮気とかしたことないですか?」
女社員の一人が市原に尋ねた。
「てかさあ、いつも男の浮気ばっかり取りあげられるけど、女だって普通に浮気すんじゃん。逆に俺が聞きたいよ」
市原が眉根を寄せて返した。
「やだ~、勿論私はしないですよ~」
「しないしな~い!」
女社員たちは声を揃えて、自分は安全牌だ、とアピールした。
「女の浮気はたち悪いだろ?」
市原はさらに被せた。
「女の浮気は浮気じゃなくて本気って言いますよね。浮気される男に原因あるんじゃないですか?」
京香のひとことで、一瞬にして場の空気が凍りついた。
「なーんて! 昼顔妻のドラマの観すぎですかねー? 今めちゃくちゃはまってて!」
京香は笑いながら慌てて誤魔化し、ちらりと淳子の方に視線を向けると、淳子の目が「よろしい」と言っていた。
何とかその場をやり過ごしたが、京香は市原の発言に腹を立てていた。女を何だと思っているのだ、と。
営業成績トップの市原は確かにビジュアルが良い。いつも女社員にチヤホヤされて調子に乗っているのだろうか。
いけすかない男だ。
皆は二次会の話で盛り上がっていたが、腹の虫がおさまらない京香は一人さっさと帰ったのだった。