ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 結婚するなら相手の両親には、受け入れて欲しいもの。

「そっかー。大病院の跡取り御曹司だもんね」

「うん。彼のご両親は、資産家の令嬢と結婚してほしいみたいだから」

「でもさ、大切なのは彼の気持ちだよ? 桜子がんばってよ」

「そうだよね。がんばれるところまでがんばるよ」

「大丈夫だよ桜子ならさ、自信もって!」

 ありがとうとうなずきながら、どこまでが嘘か本当かわからなくなる。

 嘘をつくのは美江ちゃんで二人目だ。

 一人目は弟の優斗。一緒に暮らす報告をしたら、心臓外科医の彼を尊敬している優斗は、瞳を輝かせながら喜んだ。

『すごいよ姉さん! 大金星だ』

 早くも彼をお義兄さんと言い出す始末である。

『よかった。これで安心して北海道に行けるよ』

 潤んだ瞳で何度もうなずく優斗を前にすると、罪悪感に胸が痛んだ。

 最初からかりそめの婚約者だと知ったら、優しいあの子は傷つくだろう。もしかしたら憧れの慎一郎さんを憎んでしまうかもしれない。

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