ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「じゃあ、慎一郎さんが付き合っている女性というのは」

「その女だ」と父が吐き捨てる。

「父さん。いい加減にしてくれないか。彼女を侮辱するなら帰るぞ」

「だってそうだろう。なにも知らない薫さんがおかしいと思うくらいなんだぞ? お前はあの女に騙されているんじゃないか」

 くだらない言いがかりだが、誤解はきちんと解いておかないと彼女の名誉にもかかわる。

「小池、彼女がその部屋に長く留まったのを確認したのか?」

「いえ、でも」

「なら、彼女は制服を着ていたか?」

「ええ」

「廊下には防犯カメラがある。制服を着たまま客の部屋に入り、君の想像するようなことがあったとしたら、問題にならないと思うか?」

 小池は気まずそうに顔を歪めた。

「仮にも一流ホテルだ。訳があって部屋に入る場合もあるだろうが、安全対策は取っている。インカムをつけているし、彼女たちは部屋に入るときに必ずドアストッパーで鍵が閉まらないようにしているんだ」

 そこまで言うと、小池はしゅんとしてうつむいた。

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