ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 もしかしたら私が浮気相手なのかもしれないな。

 この一年の間に彼は、本当の相手を探すつもりでいてもなんの不思議もないんだから。

 すとんと納得がいくと、同時に胃が痛くなって吐き気が込み上げた。

 私ってこんなにメンタル弱かったかな。

 わかっていたはずじゃない、動揺するなんてどうかしているよ?

 だって本当の恋人でもないんだから。



 午後から出勤し、夢中で働いた。

 忙しいゴールデンウィークは無事乗り越えたとはいえ、ホテルに休業はない。

 お客様は変わらずにいて、予想外の出来事もある。

 今日も思わぬコンプレインを突きつけられてバタバタと走り回っているうちに時間は過ぎた。

 うじうじ悩んでいる余裕なんて私にはないのよ、と自分に言い聞かせる。

 一生懸命働いて経済基盤をしっかりと整えなくちゃ。

 そうだ。もうすぐまとめて休みを取れるから優斗のところに行ってみようかな。

 札幌の風にあたれば、気分も晴れるだろう。

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