ドＳな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました

　そんなに喜んでくれるなんて、うれしい。

「さあ、どこがいい？」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

　期待に目を輝かせる彼に「泊まってみたい旅館があるんです」と告げた。

「旅館？」

「多分予約でいっぱいだと思うんですけどね」

「よし、聞いてみよう」

　旅館の名前を告げると慎一郎さんが早速スマホを取り出して調べはじめる。

「ほぉ、いい感じだ」

「でしょ？　旅館のおもてなしを経験したいのもあるし」

　お客様にとてもいい宿だったと聞いて、ずっと気になっていた。でも私にはちょっと手が出ない高級旅館なので、一生行けないだろうなとあきらめていた。

　人気の宿だろうから予約で埋まっていると思うが。

　慎一郎さんは迷わず電話をかける。

「今日なんですが――」

　彼は私を見ながら右手でオッケーを示す丸を作ってウインクをする。

「取れたよ。ちょうどキャンセルがあったらしい」

「すごい。さすが慎一郎さん」

「まあな。俺は強運の持ち主なんでね。さあ行こう。荷物を預けてランチだ」