ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「そんな顔もするんだな」
彼はからかうようにクスッと笑う。
どんな顔だっていうんだろう。
悔しいから聞き返す代わりに、私も言った。
「自分だって」
あなたはいつだって言葉少なでそっけない。冷たい人なのかなって思っていた。
だから、そんなふうに優しく頬をなでられると困ってしまう。どこまでも手の届かない遠い人でいてくれないと。
「俺がどんな顔だって?」
いつもとぜんぜん違うんです。
今のあなたは優しすぎる。
まるで――。
「誘惑の悪魔のようです」と言うと、彼は楽しそうに笑った。