ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 慎一郎さんは家で帰りを待たれるのが嫌だと言っていたくらいだから、もしかしたらいずれ復帰できちゃうかもしれないな。

「そういえば美江ちゃんありがとうね。慎一郎さんにいろいろ伝えてくれて」

 美江ちゃんはエヘヘと肩をすくめる。

「桜子には口止めされていたけど、どうしても黙っていられなくてさ。ごめん言っちゃって」

「気にしないで。本当は私が言わなくちゃいけなかったんだもん。やっぱり黙ってちゃだめだね。よくわかったよ」

 美江ちゃんはまだ結婚は考えていないらしい。
 もしかしたら入籍はするかもしれないが、私と同じくらい今の仕事が好きだから、私のように妊娠するようなきっかけでもないと辞める気にはなれないと言う。

 きっかけか。
 運命を変えた私の原点。

 コルヌイエで慎一郎さんと出会い、この子たちを授かった。

 このきっかけを幸せの原点にしないといけないね。

「さて、持ち場に戻るか」

「がんばって」

 伸びをして美江ちゃんはフロントに、私はコールセンターに戻る。

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