ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 ごめんなさい。私のせいで困らせて。

 心の中で謝った。

 ドリンクボトルを握り、大きく息を吸ってお腹に手をあてる。

 できる限りの努力はしないとね。

 コールセンターに戻ってからは、率先して電話を取り、夢中で仕事をした。

 みんなの足を引っ張らないようにがんばらないと。

 

 レジデンスに帰ると夜の七時になっていた。

 ポストの中にハガキが一枚ある。

 玄関を入り、あらためてハガキを見ると――。

「アメリカから?」

 写真つきのエアメールのハガキで、病院かキャンパスのような建物を背景に女性が写っている。

 白衣を着ているところみると医者かもしれない。年齢は私と同じくらいか少し上の、とても美しい人だ。

【元気? 会えるのを楽しみにしています。 薫】

 彼がアメリカにいた頃の友人だろうか。

 もしかしたら元カレとか?

 でも、どうしてここの住所を知っているんだろう。

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