ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 今でも以前の住所から転送される郵便物のほうが多い。カード会社などは変更手続きをしたようだが、それ以外はそのままにしてあるようだった。

 アメリカから送ってくるのに以前の住所宛でないとなると、ここに引っ越した後に連絡を取っているに違いないわけで……。

 ダイニングテーブルの上に置くも気になって仕方がない。

 気にしても仕方がないのに。

 今日に限って慎一郎の帰りは遅い。時間がかかりそうな手術があるから、もしかしたら泊まりになるかもしれないと言っていた。

 目に留まらないように、ハガキをリビングのローボードの上に置く。

「さあ、お料理しよう」

 気を取り直してキッチンに立つ。彼がもし帰ってきて食事に困らないように。

 そう思って冷蔵庫を開けると並んでいるタッパーにハッとした。

 忘れてた。昨日は休みだったからたくさん作っておいたんだった。

「ダメだな。暗いぞ? 私」

 シャワーを浴びて早く寝よう。

 明日も仕事だから。

 

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