ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「呼びにくるから、それまで寝ているように」

「はーい」

 時計を見れば朝の七時。もうこんな時間だ。

 もう何年も不規則な生活をしていたから、普通の朝が続くのはちょっと新鮮に感じる。

 ぼんやりとするうち気づけば寝てしまったようで「用意ができたよ」という彼の声で目が覚めた。

 ベッドに腰を下ろして慎一郎さんは私の頬にキスをする。

「抱いていってあげようか?」

「ええ? 重たいわよ?」

「平気さ。外科医は体力がないとつとまらないからな」

 腕の筋肉を「ほらね」と見せる彼に「じゃあお願い」と腕を伸ばした。

「いくぞ」とかけ声をかけて彼は本当に私を抱き上げた。

「三人抱いているわけだな」

「そうね」

 くすくす笑いながら、やっぱり聞いてみようと決意する。

 降ろされたのはダイニングテーブルの脇。

「ありがとう」

「さあ座って、牛乳を温めてあるから」

 野菜たっぷりのサラダにレモンドレッシング。ササミを蒸してほぐしたもの。

「トーストは? 食べられそう?」

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