ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 というのも、彼が私の体調をとても心配していて、ご両親に会うのは仕事を辞めてからでいいと言った。

 今はとにかく仕事に集中したらいいという彼の配慮だ。私がコルヌイエを愛しているのを知っているから。

『無理をしなくてひとつずつでいい』

 ご両親に対して後ろめたさはあるけれど、彼の言葉に甘えようと決めた。

 以前と違い、妊婦の私にはあれもこれもとたくさんの問題に向き合う自信はない。コルヌイエは私の宝物だもの、最後まで自分なりに全力で働きたいと思う。

 そしてそろそろ帰ろうかという夕方、隣の席の女性が、「出ないなぁ」とため息をついて電話を切った。

「どうかしました?」

「お客様の部屋に美顔器を届けて欲しいって内線があったんだけど、フロントが忙しいのか電話に出なくて」

「私、持って行きますよ?」

「そう? じゃお願いしていいかな」

「はい」

 早速美顔器を持って部屋に向かう。

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