ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 話を聞いた後、名前を頼りににネットで調べてみると工房のホームページがあった。弟子を数人抱える人気作家らしい。

 再婚しているかどうかは、ホームページからはわからないが、ホームページにある横顔の写真からは顔立ちの良さがみてとれた。

 白髪交じりの髪にそこはかとなく漂う哀愁。男の俺が見ても色気のある男性だ。若い頃から、いや恐らく今も女にモテるだろう。

 家族で暮らしていた当時はまだ若手陶芸家で、全国の陶器市を渡り歩いていたらしい。

 女性ファンが多く。作品を多く売るために既婚者であるのを隠していたという。

 彼女の母は、最初のうちこそ納得していたらしいが、パトロンとなった資産家の女性たちに誘われれてパーティに行く夫を見ているうちに、耐えられなくなった。離婚を突きつけ結婚生活は破綻した。

 父は桜子や優斗を抱いて『ごめんな』と泣き崩れたそうだ。

『家族の生活を守るために仕方がなかったんだ』

 モテる男との結婚は不幸になるというのは、彼女の母の口癖だったという。

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