ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 俺もまた彼女にとっては、不幸を呼ぶ代名詞のような存在なのかもしれない。

 イケメンを自称するわけじゃないが、職業のせいもあって俺に色目を使う女は多い。実際桜子に嫌がらせをしかけた女は病院関係者でも五人いたし、小池もそうだ。

 女に優しくすれば勘違いされる。それが面倒でおしなべて冷たくしてきたつもりだ。

 それでも寄ってくる女はなんなのか。俺のどこを見てなにが好きなのか理解に苦しむ。芸能人じゃあるまいし。

 とにかく、彼女の父と同じ轍を踏まないようにしなければ。

 俺には桜子しかいないのだから。



 髪をタオルで拭きながらリビングに戻ると、桜子はストレッチをしていたようだ。腰に手をあててマッサージをしている。

「ずっと座っているとね、腰が痛くなっちゃうの」

 やわらかそうでゆったりとした寝間着の上からも腹部のふくらみがわかる。これからどんどん腰が辛くなるだろう。

「寝る前にベッドで揉んであげるよ」

 これからは毎日の日課にしよう。

「ありがと」

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