ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 キッチンに移動して、ミルクパンで牛乳を温める。開けた冷蔵庫にはタッパーウェアに入った。酸味の利いたハムのマリネだ。明日の朝食にこれを食べて出掛けよう。

 俺のカップにだけバーボンを落としてリビングに戻る。

 リクライニングチェアのサイドにあるテーブルにカップを置いた。

「ありがとう」

 その都度言わなくてもいいのに。桜子は俺がなにかするたびに礼を言う。

「いいんだぞ。これくらいなんでもない。礼なんて言わなくて」

「だって手術で疲れているのに、なんだか申し訳なくて」

「俺がしたくてしてるんだ。疲れなんて逆に吹き飛ぶさ」

 桜子の方を向き、俺はソファーのひじ掛けに腰を下ろした。

 リクライニングチェアは一人掛けだから抱き寄せられないのがつまらない。

 包み込むように、両手でカップを持った桜子がホットミルクを飲むのを見守って、いよいよ本題を切り出した。

「明日だけど、朝食を取ってから出かけよう」

「うん」

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