ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「そりゃ朝井、お前は大卒間もなく米国医師国家試験合格のホープだぞ。院長は手ぐすね引いて待っていたんだ。当然さ。さっきも絶賛だったよな」

 今日のオペは理事長に院長に事務局長に看護師長の面々が後ろに並んで見ていた。
 彼らは定期的に俺のオペの見学に来る。

「さすがアメリカ帰りは伊達じゃないってな。事務局長もウキウキだそうだ」

 振り返ると彼は真顔で「マジでさ」と俺の肩に手をかける。

 どこまで本気で言っているんだか。

「お前はすごいよ、朝井」

「なんだよ、今日は随分褒めるな」

「だからさ、合コン行こうぜ。女の子たちがさ、朝井先生は来るんですかってうるさくてさ」

 大きなため息を返すと八代はゲラゲラと声を上げて笑う。

「実家はどうだった? 久しぶりだったんだろ」

「まいったよ。また縁談だ」

 毎回必ず俺が断るものだから父も考えたらしい。帰るといきなりリビングに若い女がいた。

 旧財閥系のゼネコン大手創業者一族の令嬢だという。

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