ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
手土産はフルーツたっぷりのゼリー。
慎一郎さんが私が食べたいものに合わせてくれた。出されたものが食べられないと気を使うだろうと心配してくれたのだ。
いよいよだと思うと、さすがに緊張してくる。
夕べはへこたれないなんて勇ましく言ったけれど、本当は不安で仕方がない。
私には、慎一郎さんを守る経済力も権力もなにもないのは事実だし、今だってこのまま帰りたいくらいだ。
負けるな私、と言い聞かせる。
信号待ちで車が静かに止まった。
「あそこの公園、子どもの頃よく遊んだんだ」
慎一郎さんが指差す方には上の方がこんもりと繁った木が見える。
「そうなのね」
滑り台も見えて子どもたちが遊んでいた。
「あの滑り台は、昔とは違うな。もう二十年も経っているから当然か」
この道を少年の彼が歩いていたのね。
きっと、かわいかったんだろうな。
「慎一郎が子どもの頃の写真見たいな」
「ん? 実家の俺の部屋にあったと思う。持って帰ろう」