ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
「リクライニングチェアをリビングに持ってきてちょうだい」

 松子さんがにっこり微笑んでうなずく。

「ただいまお持ちします」

 え、もしかして私のために?

 遠慮する暇もなかった。

「松子さん、膝掛けもな」とお父様。

 驚いて慎一郎さんを振り向くと、彼は笑っていた。

「彼女が驚いてるだろ」

「え、あ、そう? だって大変よ双子なんだから」

 どうやら私はこの子たちのお陰で、朝井家の一員になれたらしい。

 

「大丈夫か?」

「うん」

 慎一郎さんの部屋に入ったのは午後の二時。到着したのは午前中の十一時だったから、三時間後だ。

 車の中で慎一郎さんは、ご両親の態度次第では食事をしないで帰ると言っていたのに、帰るどころか泊まっていくことになりそうだ。

 お母様はすっかりその気になっていて、松子さんと一緒に私の着替えの準備を始めたりしている。

「別に気にしないで帰っていいんだぞ?」

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