ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
『私は心から彼を愛しています。心臓外科医である彼をとても尊敬していますし、彼の支えになりたいんです』

 でも、嘘だったはずのあの言葉は、今の私の気持ちそのままだ。

 私は彼を心から愛している。

 お母様はしみじみとおっしゃった。

『あの気難しい慎一郎が、やっと見つけたあなたなのよ。どうかよろしくね』

 私がお父様やお母様に受け入れてもらえたのはお腹の赤ちゃんのお陰で、私自身が認められたわけじゃない。

 そう思っていただけにうれしさはひとしおで、思わず泣いてしまいお母様を困らせた。

 お腹をなでながら「よかったね」と呟いた。

「あなたたちだけじゃなくて、ママも朝井家の一員になれるかもしれないよ」

 胸を張って言えるようになるまで、まだまだがんばらなくちゃいけないけどね。

 

「ただいま」

 慎一郎さんが帰ってきたのは。編み物を再開して間もなくだった。

「お帰りなさい」

 彼はまっすぐ私のところに来て、ただいまのキスをする。

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