ドSな天才外科医の最愛で身ごもって娶られました
 ここで私の顔色が少しでも悪かったりするとバイタルチェックが始まるが、今夜は問題ないらしく、彼はにっこりと微笑んだ。

「今日ね。お母様がいらしたの」

「え?」

 思わず笑った。

「せっかく来てくださったんだから、そんな顔しないの」

 慎一郎さんの眉間に人差し指をあてた。

 自分がいない間に私になにを言ったのか気がかりなんだろう。心配そうに私をじっと見る。

「それで、なんだって?」

 入院の準備をしてくれる話をしたが、彼はにこりともしない。

「ふぅん」

「なにしろお母様は経験者だから、私からもお願いしたの」

「そうか。まぁ桜子がそれでいいなら俺は構わないが」

 彼は、ご両親がずっと私との結婚に反対だったのを怒っているようなのだ。どうやら反対するだけでなく、ほかの女性を彼にすすめていたらしい。

 聞いてはいないが、小池薫さんもそのうちのひとりだと思う。そうでなければ彼女があれほど堂々と縁談の話をしないだろうし。

 慎一郎さんを好きだったのかな、彼女も。

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